人事担当者が語るコロナ禍の採用

2022卒の学生にさんにとっては就活が佳境となる時期に突入しました。新型コロナウィルスの猛威も収まる気配がないまま、就活ハイシーズンを迎え、学生の皆さんの関心事はwithコロナの薬剤師採用ではないかと思います。

 

「例年通りの求人があるのだろうか?」
「採用控えが起きて、入社条件が厳しくなっているのだろうか?」
「Uターン就活で長距離移動が心配。」
などの声が多く聞かれます。

 

 そんな学生さんの不安に応えようと思い、採用担当の方々を集めてトークイベントを開催しました。採用担当者に直接聞いてしまえ!ということですね。薬局、ドラッグストア、病院の採用担当者をお招きして、本音のトークを聞いちゃいました。

 

すでにご覧になった学生さんもいるかもしれませんが、このトークインベントは2020年12月3日にオンラインで開催し、現在はそのVTRがYouTubeでご覧いただけます。

 

「リクルータートークライブ:withコロナの新卒採用ナイショ話」

(YouTubeに飛びます)

 

このトークイベントから注目すべきポイントを抜粋してみました。

 

採用条件は厳しくなる

新型コロナウイルス感染症の影響で患者さんの受診控えが起こり、処方せん枚数が減り、薬局の売上は減少。皮肉なことに薬剤師不足が解消され、派遣や中途採用に頼らなくても現場を回せるようになりました。

 

新卒採用の数が減ることはなさそうですが、採用条件がこれまでよりも厳しくなるとのこと。

 

具体的には、

 

 

・自宅から通える範囲だけではなく、転居を伴う異動ができること。

・都心部から離れたエリア、地方に行けること。

・仕事に対する主体性、積極性がより求められること。

・国試落ちで内定取り消しという場合も。

 

といったことが挙げられます。

 

買い手市場に変わったことで、これまでのように薬局は内定を取りやすいなんて 思ったら大間違い。都心部の店舗配属は薬剤師が充足しているので、都心部から離れたエリアや地方に行ける人を採用したいと思うのは当然。薬局は選べる立場ですから、より能力の高い人材を採ろうとしますから、仕事に対してまたはその会社に対して前のめりかどうかを厳しい目で見るということになりそうです。

 

また、これまで薬局では卒試や国試に落ちても内定を取り消すなんてことはあまり聞いたことがありませんでした。しかし、今後はそれも厳しくなるかも。「1年は待てるけど、2年も3年も受からないんじゃ待っていられない。」というのが採用側の本音です。ただ、病院との併願はこれまでどおりアリとのことです。

 

 

ドラッグストアや病院は採用意欲が高い

ドラッグストアはこのコロナ禍でも売り上げが堅調です。新卒採用の数もあまり絞られることはなさそうです。

 

ただやはり薬局同様、採用条件はやや厳しくなる傾向があるようです。都心部の人手は充足していますから、郊外や地方で勤務してくれる人は採用されやすいでしょう。

 

病院は相変わらずの人手不足です。コロナの影響で外来患者数が減って、赤字になり病院経営が厳しいという報道を目にしますが、それでも慢性的な薬剤師不足です。

 

しかしそれは、中小病院や地方の病院の話。都心部や大学病院などはこれまで通り狭き門でしょう。一方で、地方の国立大学や自治体病院は狙い目。ライバルも少ないから入職の意思が高ければ内定のチャンスは大きい。

 

 

薬剤師の地域偏在はまだまだある

いずれにしても薬剤師の地域偏在はまだまだ解消されていません。地方に行けば行くほど薬剤不足で困っている薬局、ドラッグストア、病院は多いです。

 

「都心で働きたい。」「田舎はつまらない。」なんて思っている人がいたら今一度考え直してみてください。たとえば奨学金返済のある方。地方は物価や家賃が安いので、出費を抑えられます。その分を返済に回せるので早く完済できます。借り上げ社宅制度や宿舎を持っている薬局や病院もあります。

 

地方の自治体病院では奨学金返済支援を行っているところもあります。残業代を差し引けば都心部のドラッグストアのお給料と変わらない手取りが実現できたりします。交通網が発達した狭い日本です。今やオンラインでつながれるし、ネットで買い物もできます。長い人生、一度や二度の地方暮らしも選択肢に加えてもいいのではないでしょうか。

 

 

ちゃんと就活、ちゃんと国試対策

国試終わってからでも就活は間に合う!なんて定説は、通用しなくなりそうです。
もちろん国試後の駆け込み就活がまったくダメという話ではありませんが、かなり自分の条件を緩和させないと求人に巡り合えないかもしれません。

 

ですから、5年次生のこの時期にちゃんと就活をして、希望の就職先の内定を取る。そして前述したように国試落ちで内定取り消しなんてことにならないように、国試対策に集中する。

 

これは今も昔も変わりませんが、内定をもらった会社に入社するぞ!という気持ちが勉強のモチベーションの源泉となります。だから、ちゃんと就活して、希望の内定を取ることが国試対策にもつながるのです。

 

 

薬剤師+α

世の中には多様なキャリアを歩んでいる薬学部卒の方がたくさんいます。必ずしも免許を使うことがmustではありません。

 

薬剤師として働きながら、全く別の仕事を持っている人もいます。兼業・副業という働き方です。

 

まだまだこの業界では、兼業・副業が認められている会社は多くはありませんが、時代の流れに乗って今後増えてくることが予想されます。

 

トークイベントのゲストも口を揃えておっしゃっていました。「薬剤師+α」が必要だと。

 

採用面接でこのプラスアルファの部分を強調すると逆に「この学生さんはすぐに辞めてしまうかも」と面接官に思われる可能性を指摘する病院の声もありますが、薬局やドラッグストアのような民間企業からは、プラスアルファのことを面接時で積極的にアピールするべきとの声もありました。その結果、面接官に上述したような懸念を抱かせてしまい、内定がもらえないならそもそもその会社は自分に合っていなかったと思うべきだと。

 

40年以上ある社会人人生を薬剤師一本で生きていくことは、今後ますます大変なことなのかもしれません。

 

薬剤師免許に頼る一本足打法ではなく、プラスアルファを活用したリスクヘッジが必要です。

 

また、本業とは異なる強みが本業に生かされることもあるでしょうし、その強みがその人の魅力して表現されることもあるでしょう。それはきっと社会人人生を豊かなものにします。採用担当者はそんな魅力的な人を採用したいと思っているのです。

 

コロナ禍における採用側の本音を聞くトークイベントから気になるポイントを拾ってご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

 

就活における不安や心配な気持ちはよくわかります。同時に卒後のキャリアビジョンにワクワクする気持ちもあることと思います。Agonistはそんな薬学生さんをいつも応援しています。